2022年03月

織部釉の銅はどう(銅)しよう?②

前回からの続きです。
そのほかの釉薬の添加銅の種類としては、炭酸銅、緑青があります。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

炭酸銅(II)
炭酸銅(II)(たんさんどう に、英: copper(II) carbonate)は、銅の炭酸塩である。単に炭酸銅という時には、2価の銅イオン Cu2+ と炭酸イオン CO32− と水酸化物イオン OH− から成る塩基性炭酸銅を指すことが多い。


塩基性炭酸銅は、2価の銅イオン Cu2+ と炭酸イオン CO32− と水酸化物イオン OH− から成る無機銅塩である。
自然には孔雀石(マラカイト)と藍銅鉱(アズライト)として産する。
孔雀石(マラカイト):炭酸二水酸化二銅(II)の化学式を Cu2(OH)2CO3 もしくはCuCO3・Cu(OH)2孔雀石(青色の藍銅鉱を伴う)
 
藍銅鉱(アズライト):ビス(炭酸)二水酸化三銅(II) の化学式を Cu3(OH)2(CO3)2 もしくは2CuCO3・Cu(OH)2
藍銅鉱




試験研究用として市販されているものには、孔雀石(マラカイト) Cu2(OH)2CO3・H2O に近い組成を持つものもある。

原料屋さんによっては孔雀石も扱われているところも在りますよね。


緑青
銅は経年変化し、銅色から徐々に褐色を帯び黒色、緑青色へ変化していきます。
例としては屋根に使われている銅板やお城の屋根、大仏さまなどを見るとわかると思います。



つまり炭酸銅と緑青は、織部釉の添加銅としてほぼ同一素材の原料と考えてよさそうです。
では、酸化銅(Ⅱ)と炭酸銅(Ⅱ)のどちらが織部釉の添加に深みを与えられるのか?

【考察】
①銅が自然界の中で経年変化するを考慮に入れると、酸化銅(Ⅱ)より炭酸銅(Ⅱ)の方が、より自然界で酸化されているような原料に思えます。天然の緑青では微細な金属元素の混合もあるかも。

②重量当たり含有の銅成分量は酸化銅(Ⅱ)99.8%に比べ炭酸銅(Ⅱ)の方が半分以下となっているため、調合時に割合の調整は必要。

③そもそも窯の中での加熱変化により炭酸銅(Ⅱ)は酸化銅(Ⅱ)に変化する。
炭酸銅(Ⅱ)は融点220度で溶融により、酸化銅(II)を生じる。
CuCO3・Cu(OH)2 → 2CuO+CO2+H2O

④酸化銅(Ⅱ)は融点1026度。1050度以上で分解され酸化銅(Ⅰ)になる。

以上のことを検討すると酸化銅(Ⅱ)を中心に釉調合を考えても良いと思われます。


次回 緑青の毒性について?予定。








 

緑青には毒性があると聞いたことがあると思います。

あの青緑色のもののことです。
炭酸銅(Ⅱ)とほぼ同じものと思います。
塩基性炭酸銅(wikiより)
塩基性炭酸銅

確かに毒物及び劇物取締法では劇物、輸送上は毒物の区分となっております。
エビデンスとして以下が参考になります。

社団法人 日本食品衛生協会 食品衛生研究Vol.34,No.10『緑青(塩基性炭酸銅)の毒性』に詳しく記載されています。

・あまり多量に摂取しない限りそれほど影響はなさそうです。


また、厚生労働省 職場のあんぜんサイトに記載されている塩基性炭酸銅は以下の通り。

健康に対する有害性急性毒性(経口)区分4
 急性毒性(経皮)分類できない
 急性毒性(吸入:ガス)分類対象外
 急性毒性(吸入:蒸気)分類できない
 急性毒性(吸入:粉じん)分類できない
 急性毒性(吸入:ミスト)分類対象外
 皮膚腐食性・刺激性分類できない
 眼に対する重篤な損傷・眼刺激性分類できない
 呼吸器感作性分類できない
 皮膚感作性分類できない
 生殖細胞変異原性分類できない
 発がん性分類できない
 生殖毒性分類できない
 特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)分類できない
 特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)分類できない
 吸引性呼吸器有害性分類できない
環境に対する有害性水生環境急性有害性分類できない
 水生環境慢性有害性分類できない
ラベル要素
絵表示又はシンボル感嘆符
注意喚起語警告
危険有害性情報飲み込むと有害
注意書き
 【安全対策】
 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
 取扱い後はよく手を洗うこと。
 【応急措置】
 飲み込んだ場合、口をすすぐこと。
 飲み込んだ場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
 
【保管】
 データなし
 【廃棄】
 












内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。






では区分4とはどのようなレベルでしょうスクリーンショット (2)













釉薬として使うには、焼成によってガラス化するため酸によって溶出しない限り大丈夫そうです。


また、そもそも炭酸銅は融点が220度であるため、焼成初期の炙りの時期から変化を始め素焼きの温度辺りではもう酸化銅へと変化していると思われます。

このため、織部の緑釉などに称する際は、酸化銅(Ⅱ)黒色粉末の使用で問題ないと思われます。
この時含有量が違うため、炭酸銅の1.5倍~2倍を目途に調合をしていきます。

また織部の緑釉は、釉薬基礎釉アルカリ成分からの影響が強いため、銅添加成分の原料由来以上に基礎釉調合の色合いに影響されます。




織部釉は緑色の発色のことを言われることが多いと思います。
いわゆる総織部釉だと器全体が緑色になっているものです。

これは灰釉に銅を添加して発色させるのが一般的です。
焼成条件は酸化焼成。一旦還元焼成を経て酸化焼成へ戻すと深みのある緑色が発色されるとされています。

釉薬調合例としては
・天然灰       40~60%      
・陶石もしくは長石  60~40%  
・銅外割7~8%

以上の調合が一般的。単純な調合で素材を吟味した方が深みがある気がします。

このなかで銅添加の原材料について調べたことについて
記していきたいと思います。

釉の原材料としての銅として
・酸化銅
・銅へげ
・炭酸銅
以上の3種類が主な種類。

化学式としては(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

酸化銅(さんかどう、Copper oxide、カッパーオキサイド)は、銅の酸化物である。
組成の違いにより、酸化銅(I)Cu2Oと酸化銅(II)CuO がある。

・酸化銅(I)Cu2O
 化学式 Cu2O で表される銅の酸化物で、赤色ないし赤褐色の結晶または結晶性粉末。
 融点は1232 °Cで、1800 °Cで分解して酸素を失う。
 乾燥空気中で安定であるが湿った空気中では徐々に酸化され酸化銅(II)に変わる。
 天然では赤銅鉱として産出する。赤銅鉱は宝石にも利用される鉱物である。
                                 


 

・酸化銅(II)CuO
 化学式 CuO で表される銅の酸化物で、黒色の粉末。
 水素または一酸化炭素気流中で250 °Cに加熱すると容易に金属銅に還元される。
 天然では黒銅鉱として産出する。
 
 釉薬の着色剤として利用される。
 酸化焼成では青色-緑色に、還元焼成では赤色に発色する。
 



還元焼成で現れる赤色はかつては釉薬中の酸化銅(II)が金属銅に還元されて発色したものと考えられたが、今日では酸化銅(II)が酸化銅(I)に還元されて赤く発色すると考えられている。


現在よく使われている酸化銅は、この酸化銅(Ⅱ)のことが多い。

次回炭酸銅、緑青について予定。
 




                                                                           

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