調合

粉引化粧土について調合するにあたっての成分について調べてみました。


カオリン成分について【韓国河東カオリン中の粘土鉱物について】 【分析:信楽窯業技術試験場】より
        SiO2  Al2O3    Fe2O3  TiO2  CaO  MgO    K2O Na2O Ig.loss
河東カオリン  50.37     46.55     1.50        0.07        0.28        0.32        0.33     0.58 
土岐口ガイロメ 49.1 33.8   1.56   0.90  0.16  0.34 0.93  0.12 12.5 
朝鮮カオリン  48.4 33.8   0.79   0.11  6.27  0.35 0.41  1.77 7.86 

これだけ見るとガイロメと朝鮮カオリンはそんなに成分が違わなそうです。一説によると朝鮮カオリンは別名金剛カオリンであったとか。
つまり朝鮮カオリンは北朝鮮系、河東カオリンは韓国系といったところでしょうか。

こう見てみるとガイロメ粘土中心の化粧土組成でも良さそうに思えてきます。
あとは粒子の形によってハロイサイト、カオリナイト、デェッカイドなどがあります。
ハロイサイト   色んな針状
カオリナイト   まあまあ六角板状
ディッカイト   ほぼ全て六角板状 。朝鮮カオリン系。
モンモリロナイト 厚み1nm、広がり方向数100nmの平板状の結晶構造

≪ベントナイト≫   アメリカで初発見。モンモリロナイトが主成分  
≪ガイロメ粘土≫   ハロイサイト中心

また、ハロイサイト中心の化粧ではひび割れが多くなるとの報告もある。【化粧土における河東カオリンの代替原料について】より。

そのほかにも、粘土の構造からの分類として【農業技術辞典:粘土鉱物】より
・四面体シートと八面体シートがそれぞれ1枚ずつからなる1:1型層状構造を有する粘土鉱物には、カオリナイトとハロイサイトがあり、合わせてカオリン鉱物とよばれる。乾いてもひび割れせず陶器に利用できる。

・四面体シート2枚が八面体シート1枚を挟んだ2:1型層状構造を有するものには、スメクタイトがある。スメクタイトを主成分とするベントナイト。乾くとひび割れをする。

以上のことを考慮に入れると、化粧土としてはガイロメ粘土中心よりは河東カオリン、朝鮮カオリン中心での化粧土調合を検討していった方が良さそう。

また、≪とも土≫という考え方を追加すると、柔らかな化粧土になると思われます。

緑青には毒性があると聞いたことがあると思います。

あの青緑色のもののことです。
炭酸銅(Ⅱ)とほぼ同じものと思います。
塩基性炭酸銅(wikiより)
塩基性炭酸銅

確かに毒物及び劇物取締法では劇物、輸送上は毒物の区分となっております。
エビデンスとして以下が参考になります。

社団法人 日本食品衛生協会 食品衛生研究Vol.34,No.10『緑青(塩基性炭酸銅)の毒性』に詳しく記載されています。

・あまり多量に摂取しない限りそれほど影響はなさそうです。


また、厚生労働省 職場のあんぜんサイトに記載されている塩基性炭酸銅は以下の通り。

健康に対する有害性急性毒性(経口)区分4
 急性毒性(経皮)分類できない
 急性毒性(吸入:ガス)分類対象外
 急性毒性(吸入:蒸気)分類できない
 急性毒性(吸入:粉じん)分類できない
 急性毒性(吸入:ミスト)分類対象外
 皮膚腐食性・刺激性分類できない
 眼に対する重篤な損傷・眼刺激性分類できない
 呼吸器感作性分類できない
 皮膚感作性分類できない
 生殖細胞変異原性分類できない
 発がん性分類できない
 生殖毒性分類できない
 特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)分類できない
 特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)分類できない
 吸引性呼吸器有害性分類できない
環境に対する有害性水生環境急性有害性分類できない
 水生環境慢性有害性分類できない
ラベル要素
絵表示又はシンボル感嘆符
注意喚起語警告
危険有害性情報飲み込むと有害
注意書き
 【安全対策】
 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
 取扱い後はよく手を洗うこと。
 【応急措置】
 飲み込んだ場合、口をすすぐこと。
 飲み込んだ場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
 
【保管】
 データなし
 【廃棄】
 












内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。






では区分4とはどのようなレベルでしょうスクリーンショット (2)













釉薬として使うには、焼成によってガラス化するため酸によって溶出しない限り大丈夫そうです。


また、そもそも炭酸銅は融点が220度であるため、焼成初期の炙りの時期から変化を始め素焼きの温度辺りではもう酸化銅へと変化していると思われます。

このため、織部の緑釉などに称する際は、酸化銅(Ⅱ)黒色粉末の使用で問題ないと思われます。
この時含有量が違うため、炭酸銅の1.5倍~2倍を目途に調合をしていきます。

また織部の緑釉は、釉薬基礎釉アルカリ成分からの影響が強いため、銅添加成分の原料由来以上に基礎釉調合の色合いに影響されます。




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